卒業生の声

以下は2012年度までの卒業生の声です。

赤井 伸行 さん

出身専修
物質機能システム学専修出身
勤務先
生物システム応用科学府
物質機能システム学専修 准教授

大学院生時代は物質機能システム学専修に所属しており、研究室では赤外分光法を用いた単分子光反応メカニズム解析を主にしてはいましたが、けっこう気ままに研究していました。実は、BASEに入ったのはたまたまで、卒研で所属していた研究室(農学部)が府中キャンパスにありながらBASE所属だったことから、特に考えもなしに進学してしまいました。当時は情報化社会に入りかけの頃で、ホームページも(おそらく)なかったし、そもそもBASE本館がまだ建設中だったこともあり、BASEがどういう大学院なのかよくわかっていませんでした。

博士前期課程ではとうぜん講義があるのですが、学部学科の専門とは全く異分野の講義内容が大半だったので、(あまり覚えていませんが)大変だったような気がします。ただ、「詳細よりも、まずはイメージを持つことが重要だ」と偉い先生が言っていたことは今でも覚えています。この考え方はBASEのような融合領域研究だけではなく学問・研究にとって重要なことだと常々感じています。BASE教育の特徴の一つに、(同一専修ですが)専門の異なる教員・大学院生に向けて、テーマ、中間、最終と3度の研究発表会があります。学生時代には面倒だとしか思っていなかったのですが、ここでのトレーニングのおかげでBASE出身者は聴衆に合わせたプレゼンテーションが抜群に上手いです。実際に社会にでてみると学会のように専門家だけでの会合などはあまりないので、ちょっと専門性の異なる講義や発表会を経験しておくことで、馴染みのない仕事にもそれほど躊躇しないで取り組むことができるようになると思います。

李 海悦 さん

出身専修
生物システム応用科学専攻、循環生産システム学
勤務先
生物システム応用科学府
循環生産システム学専修 助教

BASEで専攻した分野は?

生物システム応用科学専攻、循環生産システム学です。

BASEを選んだ理由は?

私は中国長春理工大学の電気電子工学科を卒業し、引き続き大学に残り助手および講師として9年間従事しました。その後、夫の仕事の関係で一緒に来日しました。世界でトップレベルにある日本の優れた科学技術を学ぶことのできる貴重なチャンスでもあり、是非とも日本の大学で学びたいと考えていた折、本学を知る機会を得ました。その一方で、常日頃から日本の優れた環境・エネルギー技術を、経済発展の一方で深刻さを増す母国中国の環境問題の解決に貢献できればと考えていました。そのため、環境問題への取り組みが活発な生物システム応用科学府を選ぶことにし、博士後期課程への入学を決意しました。中でも電気電子工学の専門に近い生物環境計測システム教育研究分野の山田研究室を希望して入ることになりました。

BASEに入る前と後で、印象はどう変わりましたか?

BASEには農学系、工学系、理学系のいろいろな教員や研究室が結集しています。学府の授業や研究活動の中では常に違う分野の人と接触でき、物事に対してそれぞれの考え方や、ものを見る際の視角も違います。学内発表会等において異分野の方々と活発な議論を交わし交流の機会に恵まれましたことは、大変貴重な財産になったと考えています。

BASEはどうなりたい学生に向いていると思いますか?

自然環境と科学技術の様々な事に関心を持ち、海外にも積極的に出て行って活躍できる、たくましい研究者、技術者を目指す人に向いていると思います。

BASEで専攻した分野が現在の研究、業務にどのように役立っていますか?

学生と助教の身分で本学で過ごした9年間は私にとって大きな収穫でした。私が山田研究室で取り組んだのは、超音波を利用した突風監視システムについての研究です。高度な安全性が要求される鉄道や空港などの交通システムに役立てることが目標です。局地的な気象擾乱に伴う装置の開発には電子回路技術以外にも、音響計測、画像処理などの様々な専門知識を結集する必要に迫られました。新規に立ち上げたテーマであったこともあり、先行研究があまりない状況で、超音波送受信回路から渦風速場の解析に至るまで様々な装置を手作りしながら手探りで研究を進めました。研究を通して、ものづくりの力に加えて、総合的に物事を進めていく実行力が養われたと感じています。9年間で直接研究を共にした学部生、大学院生は十数人に及びました。外国人の私にとって、国籍・年齢・性別・バックグラウンドの異なるチームメート間の交流は、些細な会話の中にも学ぶべき点が多々ありましたし、自分自身を知る良いきっかけにもなり、自信に繋がりました。知識・スキルの習得とともに、私にとって一番勉強になったことは、研究者・教育者として真摯な科学的態度で取り組むことの大切さを教えて貰ったことだと考えております。将来、新しい職場に行っても私にとって大きな財産になると思います。

大学助教の任期は今年で最後ですが私もBASEから一人の「卒業生」として巣立って参ります。先生方に心から敬愛の念を申し上げ厚く御礼申し上げる次第です。今後は東京農工大学BASEの卒業生として一層の自覚とプライドを持ってこれからも進んで行きたいと考えています。

最後になりましたが、先生方のご健康と御多幸を心からお祈り申しあげます。

瀬戸 将城 さん

出身専修
生体機構情報システム学専修
勤務先
キヤノン株式会社
周辺機器事業本部 第一開発センター

カラーレーザプリンタ開発のメカ設計を担当しています。製品コンセプト構想から技術開発、特許提案等も行います。
世界一のプリンタを提供できるよう日々奮闘してます。